ヨーク大学日本語科三学年読解教材

構文と演習:「遅れた出奔」

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[構文]

@ 〜て、...N

1.   大学の事情に詳しい友人に休学手続きを頼んで、車で、だいぶ遅れた家出を決行。

2.    落ち着いたら、連絡するという置手紙を残して、出奔。

3.    四年間の交際関係を経て、ようやく結婚。

 

A 〜を控えて ...かと ...

1.    卒業を控えて、自分で何が出来るのか、一人で食っていけるのかと自分に問い掛けてみて、その経験のないことが一 番こたえた。

2.    留学を間近に控えて、海外で生活できるだろうかと、急に心配になった。

3.    明日に手術を控えて、意識が戻るだろうかと、不安な一夜を過ごした。

 

B もちろん ...ので、...のも事実である。

1.    もちろん失恋の痛手も大きかったし、結婚を予想しての、予定してなかった就職であったので、大いに嫌気がさして いたのも事実である。

2.    もちろん前から日本に行きたかったので、どうするか迷ったのも事実である。

3.    もちろんそんな経験は初めてだったので、少々驚かされたのも事実である。

 

C (どちらかと言うと)...と言った方が当 たっている(かもしれない)

1.    にっちもさっちも行かなくなっての夜逃げと言った方が当たっていたかもしれない。

2.    どちらかと言うとまぐれ当たりと言った方が当たっているかもしれない。

3.    どちらかと言うと、こちらの一目惚れと言った方が当たっているかもしれない。

 

D     恥ずかしい話だが、...さえ(知らなかった)

1.    恥ずかしい話だが、大阪に日本橋があることさえ知らなかった。

2.    まことに恥ずかしい話だが、「従軍慰安婦」が存在したことさえ知らなかった。

3.    お恥ずかしい話ですが、北米に来て、初めは、チップを渡すことさえ知らなかったんです。

 

E  まず ...なくてはと ...

1.    まず腹ごしらえをして泊まるところを探さなくてはと、近くの中華料理屋に飛び込む。

2.    まず会社の様子を知らなくてはと、人事課をたずねてみることにした。

3.    まず何か仕事を見つけなくてはと、職業安定所に出かけた。

 

F  今でこそ ...が、そのころは ...

1.    今でこそ東京にもビジネスホテルなるものがたくさんあるが、そのころはまったくなかった時代である。

2.    今でこそ何でもコンピュータでできるが、そのころは手紙一通書くのにも大変だった。

3.    今でこそいい道路が走っているが、そのころは泥道で雨が降ると大変だった。

 

G ...ながら、おもむろに ...

1.    次の朝食堂で朝食を取りながら、おもむろに新聞の求人欄に目を通した。

2.    教授は学生を見回しながら、おもむろに語り始めた。

3.    その女性は、こちらの方を見ながら、おもむろにタバコに火をつけた。

 

H ... (であれ)ば ...ぐらい[の一つや二](ある)

1.    日本第二の大都会であれば、トラックの運転手の仕事ぐらいはかなりあると思ったからである。

2.    こんな大会社であれば、空いている部署の一つや二つはあるだろう。

3.    大学の図書館であれば、日本関係の資料ぐらいはあるはずである。

 

 I ...ので、これも何かの縁と(早速) ...(こ とにした)

1.    実は、夏休みに、東京の八丁堀で働いていたのも「日の出運送」だったので、これも何かの縁と早速電話をかけるこ とにした。  

2.    ちょうど人手がほしいところだったので、これも何かの縁と、電話で問い合わせてきた人を雇うことにした。

3.    偶然旅行で一緒になったので、これも何かの縁と、それ以来家族同士で付き合っている。

 

J ...というより、...というのが本当のところである。

1.    自分独りで何かをしたというより、結局多くの人に助けられて、自分の我侭を通させてもらったというのが本当のと ころである。

2.    できると思ってやったというより、一かばちでかけてみたというのが本当のところである。

3.    学生に教えたというより、学生から教えられたというのが本当のところである。

 

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[演習]

T.次の質問に答えなさい。


1.筆者は誰に休学手続きを頼みましたか。


2.なぜ「だいぶ遅れた家出」なのですか。


3.筆者はどんな置手紙を残しましたか。


4.筆者の家出の目的は何でしたか。


5.筆者は、学生時代部活でどんなことをしていましたか。


6.筆者が家出をしようと思ったきっかけは何でしたか。


7.筆者は何を痛切に感じていましたか。


8.家出の他の理由は何でしたか。


9.筆者は大阪のことをよく知っていましたか。


10.ビジネスホテルには誰が案内してくれましたか。


11.筆者の大阪についての初めの印象はどうでしたか。


12.筆者はなぜ家出先を大阪にしたのですか。


13.筆者はなぜ「運命のいたずら」を感じたのですか。


14.「ありのまま」とはどういうことですか。


15.筆者が面接に行った運送会社はどんなところでしたか。


16.    運送会社の社長は、筆者に何をしてくれましたか。


17. 筆者は結局どこに住むことになりましたか。


18.    この文章で筆者は何を言おうとしていますか。

 

U.皆さんにも似たような経験がありますか。みんなで話し合ってみましょう。

 

V.「社会に出る」ということについてどう感じますか。四百字以内にまとめて下さい。

 

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© Norio Ota 2018