北陸中日新聞![]() ![]() | 2004年1月30日掲載 |
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![]() 福沢諭吉は「和魂洋才」の四文字で日本のあるべき姿を表現した。明治維新後の西洋へのあこがれと、科学、技術、文化を大きく吸収しようとする気概が伝わってくる。 多様性、柔軟性備えた日本
![]() 地球調和へ重要な1年 一方、大隈重信は「東西文化の調和」という本の中で、「和魂漢才」という表現で、東洋思想やアジア主義の重要性を伝えている。この偉大なる先人に共通す るのは、日本の長い歴史とアジアの東の果てのすばらしい自然環境の中ではぐくまれた純粋な「日本のこころ」を基軸としているところである。 さて、現在の日本に適した四文字のビジョンをいかに表せばいいのだろうか。日本は、仏教、儒教、キリスト教と、和魂を失うことなく、ほどよいかげんで導入し、調和させてきた。戦国武将も、当時の東西思想や先端の技術を海外からとり入れてきたのである。 この百有余年の歴史をたどってみても、日本は、富国強兵、戦争、敗戦、世界一の開発援助国と変化してきた。時代の変化がそうさせたのであるが、要は多様 性と柔軟性を備えたお国柄なのである。そして、その源泉は、やおよろずの神(八百萬の神)を崇拝するという、世界でもユニークな宗教観、思想、風土にある と考えられる。 世界の潮流はグローバリゼーションであり、多様性への対応が重んじられる一方で、アメリカを中心にした一神教的な価値観が世界を席巻している。 パワーポリティックスによる強制的な行動では、平和は達成されない。愛国心は大切であっても、他国にそれを押しつけてはいけない。ワシントンでブッシュ政権の外交政策を見ていると、それを強く感じる。 中東には中東、アフリカにはアフリカのデモクラシーがある。アメリカのデモクラシーは進んだ段階であっても、決して世界の規範になるとは思われない。 重要なのは、東西文明の調和や先進国と途上国の調和である。多様性を認めるという「萬」がキーワードになると考えられる。そこで「和魂萬才」という四文 字は、グローバリゼーションが進展する中、地球の多様性を認め、柔軟性に富んだ対応をするという意味で、日本のあるべき姿を表しているのではないだろう か。 (中野有・ジョージワシントン大学エリオットスクール客員研究員)
【中野氏のUSAメール】
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